2022年6月2日木曜日

悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて、「もし、ひれ伏して私を拝むなら、これをみんな与えよう」と言った。すると、イエスは言われた。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」そこで、悪魔は離れ去った。すると、天使が来てイエスに仕えた。(マタイ4・8-11)

 誘惑に打ち勝つ。



映画『ロード・オブ・ザ・リング』から




 悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて、「もし、ひれ伏して私を拝むなら、これをみんな与えよう」と言った。すると、イエスは言われた。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」そこで、悪魔は離れ去った。すると、天使が来てイエスに仕えた。(マタイ4・8-11)




 原作はJ・R・R・トールキンの「指輪物語」、壮大なファンタジー小説です。原作の世界観を忠実に映画化したので、壮大で美麗な映像が繰り広げられます。魔法使いや妖精、奇怪な形の化け物や、様々な容姿の諸種族が、どこまでも広がる森林や暗黒の地下世界、巨大な石像や天を衝くお城などを舞台に活躍します。「どうやって撮影したんだろう」という疑問が吹き飛んでしまうほど、自然で違和感のない映像と、何よりも素晴らしい物語に没入してしまいます。

 持つ者に巨大な権力を与える不思議な指輪を、冥界の王が狙います。彼に指輪が渡ったら、世界は滅びてしまいます。指輪を破壊し世界を守るために、主人公と数名の仲間たちは、冒険の旅を続けます。

 指輪の不思議な力は、人々を惹きつけます。指輪の魅力は誘惑となり、人々は自分のものにしようとしてしまうのです。誘惑に打ち勝つのは、いかに難しいことなのでしょう。映画の中では、普段は穏やかで、また勇敢で、また理性的な人々が、指輪を見ているうちに、目つきが変わり、無理やり奪おうとしてしまう場面が何度も出てきます。その様子は正に、「我を忘れる」状態です。

 この21世紀の現代社会において、きわめて残念なことに、多くの争いが沸き起こっています。信じられないような破壊が行われ、多くの人々が傷つき、また命を失っています。正に「蛮行」と言うしかありません。争いを主導している人々は、権力への誘惑に負けてしまった人々なのかもしれません。悪魔の誘惑の手に落ちた、としか私には理解できません。イエス様は荒れ野で、悪魔の誘惑に打ち勝たれました。私たちは、誘惑に打ち勝つことができるのです。争いの主導者たちが、悔い改め、誘惑に打ち勝ち、争いが一刻も早く終わることを、心から願います。