2020年11月1日日曜日

イエスが船に乗り込まれると、風は静まり、弟子たちは心の中で非常に驚いた 。 (マルコ6:51)

大きな船 映画『トランスフォーマー』から 


 アクションSF映画です。原作はおもちゃ!30年以上の人気を誇ります。トラックやパトカー、スポーツカーなどが、格好いいロボットに変形します。これを手にした子どもたちは、遊びの中で、壮大な物語を造り出してきたことでしょう。その想像力が、アニメや映画、マンガなど、様々な作品を造り出してきました。どれも、何年も続く、大人気のシリーズになっています。

 遠い宇宙で繁栄を極めた金属生命体、けれども、エネルギーの源が宇宙に放り出され、地球に落下します。悪のロボットは自らの欲望のために、正義のロボットは悪を制し宇宙を守るために、地球を訪れ、日頃は地球の機械の姿を模して、緊急時にはロボットに戻って、激しく戦うのです。映画は、最初は「勧善懲悪」の物語で始まり、そして作品を重ねるごとに、内容が深まってゆきます。私が関心を深めたのは、「共生」のテーマでした。正義のロボットは人間たちと協力して、悪のロボットと戦います。けれども徐々に、人間がロボットを排斥してゆくのです。ロボットたちは人間たちにひどい扱いを受けながらも、最後まで人間を信頼し、必死になって人間を守るのです。

 このテーマは極めて現実的です。「人種問題」「地域格差」などは、未だに解消されていないどころか、新たに課題が噴出し続けています。また、今回の感染症については、きわめて残念ながら、罹患した人々への差別や攻撃が起きてしまっています。とても良くない状況です。

 A・ビアスの「悪魔の辞典」という本があります。身の回りのことを、皮肉たっぷりに説明し、それを辞典の形でまとめたものです。その中の「友情」の欄には、英語で「friendship」の「ship:船」にかけて、こう記されています。「天気のいい日は二人乗るが、悪い日には一人しか乗れない船。」とても辛辣ですが、これも私たちの正直な姿です。私たちは、調子のいい時には他者に優しくできますが、そうでないときは人を排斥したり攻撃したりしてしまいます。

 イエス様は、十字架にかけられている時でさえも、人を赦し、受け入れました。私たちの信仰は、愛の道です。私たちの信仰共同体は、苦しい時ほど、多くの人々を受け入れる、大きな船でありたいと思います。