訳の分からないもの。
トリガー制作『キルラキル』から
私は自分のしていることが分かりません。自分が望むことは実行せ
(ローマ7・15-20)
数年前に放映されたアニメ作品です。久しぶりに見たくなって鑑賞 しました。荒んだ生活をしていた少女がたどり着いたのは、巨大な学園都市。 そこでは生徒会長が絶対的な権力を持ち、特殊な力を持つ「制服」を使って生 徒を支配していた。少女は会長との戦いの中で、思いもしなかった秘密に導かれ ていく・・。
アニメ制作が派手な演出で有名なプロダクションです、拳一発で周 りが吹き飛び、剣の一閃で何百人もが薙ぎ払われます。その上登場人物も「昭 和」の「任侠モノ」のような、外連味たっぷりの立ち居振る舞いです。ハチャメ チャぶりが、面白くて仕方ありません。
主人公も会長も、自分の「正義」に基づき、自分の「使命」のみに 忠実な人物です。しかし彼らの周りには、有象無象の人々が絡み合います。彼 らは主人公たちを慕ってはいるのですが、いつも焦点はズレていて、そのくせ体 力だけは妙にあるので、結局状況を混乱させ、主人公たちの邪魔をすることにな るのです。ハチャメチャな行動に、主人公たちは戸惑いながら、けれども最終的 には、この「訳の分からなさ」に救われていることに気づきます。ストイック な生き方から漏れ落ちていた優しさや自分の命大切さ、「誰かを守りたい」と いう気持ちや誰かと一緒に居る喜びを、この訳の分からなさから得ていたのでし た。
高度に発展したこの社会において、私たちは「合理的」に生きてい る、と思っています。けれども私たちの中にも、「訳の分からないもの」が一 杯あります。例えば、私たちの「心」は、自分で完全にはコントロールできませ ん。時には様々な思いが渦巻き、振り回されるときもあります。けれども、私たち は心を捨ててしまおうとは思いせん。心は人間に必要不可欠だからです。私た ちは、自分が思っている以上に、訳の分からないものと共に生きているのです。 きっと神様がそのように人間をお造りになったのでしょう。非合理的なものの中 に真理を潜ませ、なかな真っ直ぐに進まない人生の中に、豊かなお恵みを用意 して下さっているのでしょう。イエス様は、人間の訳の分からなさを、十字架に よって、永遠の命につながる良いものに変えてくださいました。訳が分からない からこそ、人生は素敵なのかもしれません。
数年前に放映されたアニメ作品です。久しぶりに見たくなって鑑賞
アニメ制作が派手な演出で有名なプロダクションです、拳一発で周
主人公も会長も、自分の「正義」に基づき、自分の「使命」のみに
高度に発展したこの社会において、私たちは「合理的」に生きてい