2021年7月11日日曜日

イエスはお答えになった。「『人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる』と書いてある。」 (マタイ 4:4)

 安堵と希望

ミヒャエル・エンデ『モモ』から


イエスはお答えになった。「『人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる』と書いてある。」

(マタイ 4:4)


 信徒の方から紹介されて読みました。世界的に有名な児童文学です。副題として次のように記されています。「時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語」。正にそのような物語です。新幹線で早くなったのに、インターネットで早くなったのに、高速道路で早くなったのに、いつまでも、忙しくて時間がないのはなぜだろう。「便利」になったはずなのに、せわしなくて慌ただしいのはなぜだろう、とずっと思っていました。この本を読んで、やっと理由が分かりました。時間泥棒に時間を奪われていたのです。そうだと分かれば、悪い泥棒と戦って、時間を取り戻さなければなりません。

 この戦いに必要なのは、愛です。具体的には、まず、笑顔とユーモアです。これはなかなか難しい!「正確」で「真面目」であることが重んじられる私たちの社会では、笑顔とユーモアは、隅っこに追いやられます。物語の中で、時間を奪われた人々は、孤独感を感じ、不安に駆られます。反対に自分の時間を取り戻した人は、安堵と希望に満ちあふれます。安堵と希望は、カチカチの固いものからではなく、柔らかいものから生まれるような気がします。豊かないのちを取り戻す戦いは、決して楽ではありませんが、まずは、笑顔とユーモアから始めたいと思います。

 今、世界は「環境問題」に深く取り組んでいます。これは、神様が造られたものを大事にしようとすることだと言えます。「時間」も神様が造られたものです。大切にしたいと思います。

 この本を、大急ぎで読むのは、本末転倒でした。まずはじっくりと、この物語を味わいたいと思います。


京都聖マリア教会


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